朝日新聞にて乗越たかお氏による「間"Ma,Aida…"」への評論掲載頂きました!

朝日新聞にて乗越たかお氏によりモンペリエ・ダンスフェスティバル参加カミーユ・ボワテル世界初演作「間"Ma,Aida… »」へのご評論掲載頂きました!日本では東京芸術劇場での公演予定です。

朝日新聞DIGITAL記事はこちら→ https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S14102650.html…

………

以下掲載記事全文

壊れるもの残るもの、問う継続性 モンペリエ・ダンスフェスティバルを見て 舞踊評論家・乗越たかお寄稿

朝日新聞DIGITAL 2019年7月18日

フランスを代表するモンペリエ・ダンスフェスティバルが39回目を迎え、約2週間にわたって様々なプログラムが行われた。世界のダンスフェスの草分け的存在で、多くの才能を輩出してきた老舗フェスだ。

 今回は、日本文化に材を取ったカミーユ・ボワテルの世界初演作「間(ma, aida…)」が注目を集めた。ボワテルとセヴ・ベルナール扮する男女が抱き合い、喧嘩(けんか)し、2人のあいだに様々な「間」が展開していく。そしてテーブルから床板まで、周りの物が全て徹底的に崩壊していくのである。今回は騒音の合間に井原季子の鳳笙(ほうしょう)が静謐(せいひつ)に、光が降るかのごとく響き、絶妙なコントラストを見せた。そして最後まで壊れぬ愛の絆が立ちあがってくる。本作は東京芸術劇場での公演が予定されている。

 ベテラン勢ではアンジュラン・プレルジョカージュが「ソウル・キッチン」で収監中の女性受刑者5人に振り付け、3日間だけ特別外出許可をとって上演した。ウィリアム・フォーサイスは「ダンスの静かな夜」で本格的にヒップホップに取り組みつつ、バレエの美しさを浮き上がらせるなど、挑戦的な作品が続いた。

 マース・カニングハム生誕100周年を記念し、ワークショップや復刻上演も行われた。音楽家のジョン・ケージらとともにダンスを解体していった彼の偉業が現在にどう接続しているかを示したのだ。こうした「コンティニュイティー(継続性)」はフェス全体を通じて常に問い直されていた。じつは日本では歴史を踏まえたダンスの継続性が重視されているとは言いがたい。ダンスを流行ではなく、蓄積する文化として継続していくフェスの姿勢は、大いに学ぶべきだろう。